日本海洋学会2014年度春季大会(ナイトセッションB)
第3回「COSIA(海洋科学コミュニケーション実践講座)体験ワークショップ」開催報告
JAMSTEC 市川洋、海の自然史研究所 今宮則子
1.はじめに
「海の自然史研究所」はCOSIA(海洋科学コミュニケーション実践講座、全10回)の紹介活動を全国各地で行なっている。教育問題研究会は、この実践講座の一部を体験して、今後のプレゼンテーション・授業・アウトリーチ活動に有用な情報を会員、特に大学院学生と若手の研究者・大学教員が得る場を提供するために、2013年度春季大会時と秋季大会時に、「COSIA(海洋科学コミュニケーション実践講座)体験ワークショップ」を開催した。これらに引き続き、第3回体験ワークショップを2014年度春季大会のすべての研究発表が終わった3月29日の17時30分から19時30分に東京海洋大学講義棟35番講義室で開催した。1月下旬の海洋学会MLでの開催案内に応じて事前登録した会員は7名であったが、結局、9名(内6名は教育問題研究会会員)が参加した。なお、9名の内で体験ワークショップに初めて参加した会員は4名(内、学生会員2名)であった。以下に、本ワークショップの概要を報告する。
2.概要
ワークショップは、都築章子(海の自然史研究所)が講師となって約2時間にわたって「『学習の場で用いる「物」の役割』について考える」という主題の下で進められた。初めに、2つのグループに分かれて、「研究紹介の場で用いる『物』」について各自が何をイメージするのかを話し合った。そのあと、3つのテーブルの各々に広げられた種々の魚の写真カードを用いて、二人一組で、気に入った写真の魚の特徴を説明し合ったり、魚のグループ分けの理由の説明をおこなう体験学習を通して、「『物』を使った学習指導のあり方」を体験した。さらに、教育者が「物」を使って教える際に考えるべきこと、についての解説があった。以下に、これらの実施内容についての学生会員2名の各々の感想を示す。参加学生会員の感想(1)
中野 知香(東京海洋大学大学院博士後期課程2年)参加学生会員の感想(2)
荻原佑介(東京海洋大学大学院修士2年)その他、種々の感想が終了後に回収されたアンケート回答用紙に記載されていた。その一部を抜粋して以下に示す。
・学会員のなかで、こういう取り組みに興味を持っている方々と知り合えたのが良かった。3.関心を集めたCOSIA実践講座の項目
COSIAの各項目の内容を紹介するパンフレットを配布した上で、次のアンケート調査をおこなった。
10項目の中で、1、2、5、9の各々が最高の3票、次いで4と8が2票を集めた。
項目2と3は第1回体験ワークショップで、項目6と9は第2回体験ワークショップで紹介済みであるが、項目1と5に対する関心の高さが注目される。今後の体験ワークショップのテーマ選択の参考としたい。
4.おわりに
大会初日で併行して開催されたシンポジウムが多かったため参加者が少なかった第1回、併行したシンポジウムのない大会最終日の午後に開催したが、5日間の学会を終えて慌ただしく帰途に着く会員が多かったため参加者が少なかった第2回の経験を踏まえ、今回は大会最終日前夜(研究発表がすべて終わった4日目のナイトセッション)に開催した。大会受付にポスターを掲示し、パンフレットを配布したり、大会2日目のサイトセッション「海洋若手研究交流会」で勧誘したが、教育問題研究会会員の他に当日申込の参加者はいなかった。結局、参加者数は、前回より増えたものの、9名(内、教育問題研究会会員6名)に留まった。
終了後のアンケートでは、適切と思う開催日や時間配分については意見が分かれたが、新たなCOSIA体験形態として「各地で開かれるCOSIAの実践活動に海洋学会会員が体験参加する機会を設ける」ことが提案された。また、「教員を目指す学生」には非常に有用であることをもっと宣伝することも提案された。これらの提案を含むアンケート結果を参考に、より多くの会員の参加を目指して、今後も継続して開催することを検討している。
最後に、本体験ワークショップを開催するに当たり、会場の手配その他について多大なご助力を頂いた日本海洋学会2014年度秋季大会実行委員会の関係者の皆様に厚く御礼申し上げます。
参考
市川洋・今宮則子(2013):体験ワークショップ開催報告,JOSニュースレター,第3巻第1号,10-11.(http://kaiyo-gakkai.jp/jos/newsletter/2013/2013_v3_n1.pdf)