海のサイエンスカフェ

日本海洋学会教育問題研究会



第7回海のサイエンスカフェ開催報告

 

地震・津波グループの話題

情報提供者:長尾正之さん(海洋学会員)、乙部弘隆さん(教育問題研究会員)
文責:市川洋

以下、O、H、Nは海洋学会員、I、W、Yは一般参加者

 

話題:被災地で孤立した人たちの救助について(I)

孤立地域について、どこでどういう地震津波被害があるかわからない(I)

偵察機での把握。グローバルホークでは赤外線で人がいる、いないが判別できるらしい。こういう無人機を24時間体制で飛ばしたらどうか(I)

議論:防潮堤について

今回の津波の被害が大きくなった原因の一つに、防潮堤が役に立たなかったことがある、という意見からはじまった。防潮堤は全く不要。防潮堤が役に立った場所もある。今の人は防潮堤で海と隔離され、防潮堤を信頼しすぎる、防潮堤を無くしてふだんから小さな津波など経験させて、避難の訓練に緊張感を高めておいたほうが良い。ただし、防波堤は日々のくらしに有用である。防波堤と防潮堤との区別を明確にすべき、など活発な討論があった。

話題:津波堤基礎を、津波に耐えられるようにもっとしっかりできなかったのか(I)。

今回の津波では「津波堤」は無駄だった。税金の無駄だった(H)。

「津波堤」・「防潮堤」・「防波堤」で、助かったところもある(O)。

話題:今回の地震津波の特徴は何か(Y)

議論:津波のモニターや予測について

もっと予測の精度を上げるとともに、地震や津波で測器が機能しなくなることを避けることは出来なかったか。大津波の被害が出た後、救難活動が効率良く行えるようにローカルな津波警報が出せるようなシステムが欲しい。余震による津波を警戒して救助に向かえなくて被害が大きくなった例がある、など、警報、注意報のありかた、狼少年化することの問題点。普段からの教育、訓練のあり方なども議論した。

話題:もっとこうしたらよかったということはなかったか(Y)

「津波がきたらすぐ逃げる」(O, H)

今回、指定避難場所が被災してしまったことも問題(O, H)。

指定避難場所よりもっと高いところに逃げるべき(O, H)。

ハザードマップを描き直さないといけない(O, H)。

低地の学校の学生たちが、高台に逃げて助かった例がある。日頃の訓練が大事。(O)

大きな津波堤の悪いところは、人間生活と海が分断されるところ。何かあったときのイマジネーションが現代人にはわいていない(O, H)。

(対応できない津波に対して)「津波堤」による対策では限界がある。一方で、高潮(台風)に備えるための防潮堤は必要。ハザードの規模によって対策は違う(O, N)。

被害・リスクは許容することにして、すぐに復旧できる街を考えるべき(H)。

救えない人命を許容できるだろうか?(N)

話題:検潮所が被害を受けてしまい、次々きた津波高さがよくわからない。(I)

被災後の救助活動の一時停止や、余震による津波予報に影響。被災地に対するもっときめ細かな予報、ローカルな津波予報が必要ではないか。(I)

新しい、津波に耐えられるモニタリング方法はあるか?(I, N)

壊れることを想定して、むしろ被災後に簡単に復旧できるサイトを作るべき。(I, N)

GPS津波計をヘリで設置する、衛星観測で計測するなど。(I, N)

話題:警報・注意報の出し方(I)

津波注意報、警報、大津波警報について。「X m以上の津波のおそれ」と言ってしまうことによって、予想される津波高さより高い津波堤の内側にいる人や、高台にいる人は、ここなら安全と思ってしまって、避難が遅くなってしまったというおそれはないか。津波警報・注報の基準と実際の津波高さとの心理ギャップの問題はないか。(I)

話題:東京湾にも津波はくる可能性はあるか(W)

大津波の場合は入ってくると思う。また、蓮沼啓一さん(教育問題研究会員)が本日の話題提供で示した平塚観測塔での津波データのように、津波が湾に入り込むと、湾の中でなかなか減衰しないことも生じる。