海のサイエンスカフェ

日本海洋学会教育問題研究会



海洋生物の放射能汚染
~わかっていること、わからないこと~

 話題提供: 神田穣太さん(東京海洋大学)

  進   行: 須賀利雄さん(東北大学)

 日   時: 平成24年9月17日(月曜日) 10時30分-12時30分

 場   所: 清水区役所清水庁舎3階第一会議室
         静岡市清水区旭町6番8号
         http://www.city.shizuoka.jp/deps/simizu/tyoushaakusesu.html

 主  催:日本海洋学会教育問題研究会

 共  催:2012年度日本海洋学会秋季大会実行委員会

 協  力:サイエンスカフェin静岡

 担  当:須賀利雄、市川洋


【参 加 者】30名(一般:19名、海洋学会員:5名、教育問題研究会会員:6名)

【話題提供者からのメッセージ】

教育問題研究会の皆さんが重点的に取り組まれている活動にサイエンスカフェがあるのは聞いていたが、これまで話題提供をされた方々は「気鋭の若手研究者」か「一目置かれる重鎮研究者」とお見受けし、若くはない上に重いのは体だけの私に話題提供を求められようとは思っても見なかった。昨年来、逆らえない水流に落とし込まれる重石のように、いつの間にか放射能汚染に携わるようになっているが、デリケートな話題である上に世間に流れる言説は何でもありの感もあり、カフェのテーマとしては気の重いものであった。かつて静岡で勤務したこともある地の利(?)もあまり助けにならず、学会最終日までの疲労もあって足どりも重く、何とか本番を迎えた。事前にアドバイスを重々いただきながら(案の定)大幅に時間超過した話題提供を、進行の須賀さんはじめ教育問題研究会の会員各位と、午後の市民講演会関係の会員各位にフォローしていただいた。救いは、参加者の皆さんが丁重かつ冷静に話を聞いて下さり、加えて思い込みに縛られずに様々な側面を慎重に考えて下さったことであろう。必要以上に重苦しい雰囲気にならずに終えることができたのは、全く参加者と学会員の皆さんのお力添えによる。重い頭を垂れて感謝した次第である。やや重いメッセージ、失礼しました。

(神田穣太)

【進行担当者からのメッセージ】

 今回のサイエンスカフェのテーマは、地元の静岡大学理学部が主催する「サイエンスカフェin静岡」の協力を得て、事前に行った2回のアンケートの結果を踏まえて選ばれたものだった。海洋生物の放射能汚染という、参加者の誤解を招けば深刻な問題となるデリケートなテーマを扱うことから、話題提供者を誰にお願いするかに、いつもより神経を使ったが、海洋学会の震災対応ワーキンググループのメンバーとして、この問題に取り組んできた神田さんにお引き受けいただいた。神田さんのお話は、副題「わかっていること、わからないこと」のとおり、この難しい問題の理解の現状を客観的かつ的確に整理して、参加者が自ら判断するための材料を提供しようとする内容で、参加者の興味に応えると同時に、話題提供後の活発なグループ討論を促すものだった。
 難しいテーマだけに、話題提供を丁寧に行う必要があり、予定の時間を超過したのは仕方がないことだったと思う。アンケート結果には、「アイナメの放射性物質含有量に個体差が大きいことが驚きでした」、「魚の種類によっては放射能が高いこと。その理由が食物連鎖では説明できないこと。とても興味深いと感じました」などの感想が並び、話題提供への参加者の満足度が高かったことが伺われた。一方、話題提供後に質疑応答の時間を取らなかったのは、進行上の不手際であったと反省している。午後の市民講演会登壇者も参加したグループ討論についても概ね好評であった。ただし、短い時間での討論を、より多くの参加者に満足してもらうためには、可能な限り、参加者の興味・関心に配慮したグループ分けをすべきだったと思う。これらの反省を、今後のサイエンスカフェの運営に活かしていきたい。
 最後に、開催にあたりご協力いただいた「サイエンスカフェin静岡」のみなさん、宗林留美さんほかの海洋学会秋季大会事務局のみなさんに厚く御礼申し上げる。

(須賀利雄)