激動する熱帯太平洋とアジアの気候
~過去100年の航海から読む気候の歴史〜
話題提供: 時長 宏樹さん(ハワイ大学)
進 行: 上野洋路さん(北海道大学)
日 時: 平成25年9月21日10:30〜12:00
場 所: 三省堂札幌店 ブックス&カフェ UCC(札幌ステラプレイス5階)
主 催:日本海洋学会教育問題研究会
担 当:須賀利雄、市川洋
【参 加 者】25名(社会人・学生:14名、海洋学会会員:11名(うち教育問題研究会会員:6名))
【話題提供者からのメッセージ】
「激動する熱帯太平洋とアジアの気候~過去100年の航海から読む気候の歴史〜」という題目で話題
提供をさせていただきました。暖かい熱帯の海の上で盛んに発生する巨大な積乱雲の塊は、 地球を巡
る風のエンジンとして気候の形成や変動に重要な役割を果たしています。今回のサイエンスカフェで
は、2000年以降に東南アジアで頻発している洪水や、今年の猛暑だった日本の夏を具体例として取り
上げ、熱帯太平洋の暖かい水温や雲の形成が大気の循環を介してどのようにアジアの気候と関わって
いるかについて紹介しました。
私が話題提供者を担当することになった当初は、開催地が北国の札幌ということで、ほとんどの参
加者にとっては身近ではない熱帯の気候について理解していただけるか不安な点もありました。しか
し、今年の猛暑などを具体例として解説したことによって、多少なりとも関心を持っていただけたと
思います。実際にサイエンスカフェ後のアンケートによれば、概ね理解できておもしろかったという
声も多く、安心いたしました。 私自身に関しては、このようなサイエンスカフェで話題提供を行う
のは初めての経験でしたが、自分の専門について誰でも理解できるように説明することは決して容易
ではなく、自分のサイエンスコミュニケーション能力を磨くという点でも良い経験をさせていただき
ました。ただし極力分かりやすい説明を意識しすぎて話題提供の時間が長くなり、グループ討論の時
間が短くなってしまったことは反省すべき点でした。最後に、参加者の皆様、準備段階から的確なア
ドバイスを下さった上野さん、川合さん、市川さん、岸さんをはじめとする海洋学会教育問題研究部
会の方々にこの場をお借りしてお礼申し上げます。
(時長 宏樹)
【進行担当者からのメッセージ】
今回は、三省堂札幌店との共催により、三省堂札幌店ブックス&カフェ UCCにて開催しました。三
省堂札幌店には、会場の提供のみならず、サイエンスカフェのポスター作成・店内への掲示などにおい
て様々なご配慮を頂きました。この場を借りてお礼申し上げます。なお、カフェUCCは、三省堂の本を持
ち込んで読むことができ、いつも大勢の人で賑わっていますが、サイエンスカフェの当日は、午前中のみ
カフェを貸し切りとして実施させて頂きました。また、今までの海のサイエンスカフェは、プロジェクタ
を使用せずに開催しておりましたが、スクリーンが三省堂内の他のエリアとの仕切りともなることから、
プロジェクタを使用して実施しました。プロジェクタの使用には講演調になってしまうという欠点があ
りますが、話題提供者の時長さんに講演調にならないように配慮してもらい、また、参加者の方から積
極的に質問して頂いたおかげでその欠点はカバーできたと思います。
サイエンスカフェは、海洋学会会員による自身の専門の簡単な説明から始めました。続けて、一般の
参加者の皆さんに、今回の話題やその他海に関する興味などについて手短にお話し頂きました。その後、
進行役の私が話題提供者の時長さんの紹介を行い、時長さんに30分程度の話題提供を行ってもらいま
した。時長さんの話は、とても分かりやすくまとまっており、海洋学会会員にとっても大変勉強になる
内容でした。しかし、それは専門家である我々の印象であり、一般の皆さんにどれだけ伝わったか若干
心配でしたが、アンケートの結果、話題の内容をおおむね理解して頂いたこと、ほとんどの参加者が
「目から鱗」の驚きを覚えた所があったと答えて頂いたことが分かり、ほっとしました。また、参加者
の皆さんから適宜質問して頂いたことが、話題提供者にとって「参加者にどの程度理解してもらってい
るか」の理解につながり、参加者の皆さんへのより丁寧な説明に繋がったと思います。ありがとうございました。
話題提供の後、参加者にはいくつかのグループに分かれてもらい、30分程度、話題提供の内容に限らず、
海に関する様々な話題について懇談を実施しました。話題提供者の時長さんと気候変動の話をしたグループ、
海洋教育について話をしたグループなどがありました。比較的大人数だったグループには、懇談後に、その
グループでどのような話をしたかを全体に向けて簡単に紹介してもらいました。その後、アンケートに記入
してもらい、終了となりました。本サイエンスカフェに参加して頂いた皆さん、そして企画段階から大変に
お世話になった、教育問題研究会の難波さん、藤井さんにお礼を申し上げます。
(上野 洋路)