日本海洋学会教育問題研究会

「女子中高生夏の学校2014 ~科学・技術・人との出会い~」
で海洋学を紹介しました♪

教育問題研究会  大林 由美子・川合 美千代・市川 洋

1.はじめに

独立行政法人科学技術振興機構「女子中高生の理系進路選択支援プログラム」の一つとして、 独立行政法人国立女性教育会館主催、男女共同参画学協会連絡会後援で、「女子中高生 夏の学校2014 ~科学・技術・人との出会い~」が埼玉県比企郡嵐山町の国立女性教育会 館を会場として、2014年8月7日から9日に開催されました1)。対象は、中3~高3の女子 100名と保護者・教員50名。研究者・技術者・理系分野の大学生・大学院生等との交流を 通して理系進路選択の魅力を伝えることを目的とするこのイベントに、今回、海洋学会教 育問題研究会として初めて参加しました。以下にその経緯、概要、当日の様子などをご報告します。

2.経緯

2013年5月に、地球惑星科学連合男女共同参画委員会に出席した原田尚美学会幹事から幹事 会MLへ「女子中高生夏の学校」に参加・出展する学会を募集中との報告があったことを受け て、川合(学会幹事 教育問題研究会担当)より教育問題研究会の参加が提案されました。教 育問題研究会で検討した結果、翌2014年からの参加に向けて、川合と大林を担当責任者とし て企画立案をおこなうことになりました。準備の一環として市川が「女子中高生夏の学校2013」 を見学し、結果、参加・出展する際には、海洋研究の網羅的な紹介のみならず、海洋学を学ぶ ことのできる大学学部や卒業後の進路等の情報も提供する必要があること、参加者の興味を引 く実技・実演を提供するのが望ましいことが分かりました。
2014年3月に、「女子中高生夏の学校2014」では「ポスター展示・キャリア相談ブース」に ブースでの演示実験を含めて出展することを決め、具体的な準備を開始しました。なお、 「女子中高生夏の学校2014」への参加申込みおよび協賛を海洋学会名と教育問題研究会名 のどちらでおこなうかについても議論され、参加申込みは教育問題研究会名で、協賛は幹事 会の判断により海洋学会名でおこなうことになりました。

3.概要

毎年開催されている「女子中高生夏の学校」は2014年で9回目とのこと。 初日13時の開校式から3日目13時の閉校式までの2泊3日の合宿研修の間にキャリア講演、 実験・実習、研究者・技術者との懇談、他、多彩な企画が間断なく用意されていました。 2日目(8月8日)午前の「サイエンスアドベンチャーⅠ:ミニ科学者になろう」には、 日本生態学会の「身近に生きる生物たちの生態」他、計16の実験・実習が出展されて いました。私たちは同日午後の「サイエンスアドベンチャーⅡ:研究者・技術者と話そ う」と題するプログラムの「ポスター展示・キャリア相談ブース」に全36学協会等とと もに出展しました。
当日は11時頃から、ポスター掲示、展示品配置、実演装置の準備、説明の練習などの慌 ただしい準備作業の後、13時から16時までの間、次から次へとブースへ訪れる来訪者 (中高生、保護者・教員、運営スタッフ)を相手に展示内容の説明とプチ実験(実演) を実施。全員でフル対応のため、他のブースを見学できなかったのが残念でした。
ブースは16時過ぎに撤収、資材返送手続きの後、17時頃からは学生企画「Gate Way」 に参加し、小テーブルに分かれて参加生徒と少人数での懇談。ブース展示では十分に話 せなかった各自の研究内容の説明や進路選択・受験勉強法などについての相談に応ずる など、普段は味わえない経験ができました。夕食(交流会)後のサイエンスカフェⅣ 「保護者・教員と留学生との国際交流」では、諸外国における理系進学志望女子生徒の 状況などの紹介がありました。21時過ぎに大林と川合は帰途につきましたが、市川は1 泊し、翌朝の「夏の学校を振り返る(教員向け)」にも参加して、キャリア指導におけ る「夏の学校」の役割などについて「夏の学校」創始者、元「夏の学校」参加者(国立 青少年教育振興機構職員)、現場高校教員と意見を交換しました。その中で、「夏の学 校」に参加したことで「学校では理系が好きな少数派学生」が仲間を見つけ、自分の選 択に自信を持てた、という生徒が多いことを知り、驚きました。その後、参加全生徒に よる共同イベント「一体感型実験(演算回路のグループ表現)」を見学し、11時過ぎに 会場を後にしました。

4.出展ブース

私たちの『「海」にはなぞがいっぱい―海のなぞを探る研究あれこれ』 と題したブース(幅2.2 m、奥行き2 m)では、海洋学の大まかな紹介と、海洋学には 物理・化学・生物・地学のいずれの要素も含まれることを説明するポスターを展示する とともに、以下の実演により、海を少しでも身近に感じてもらうことを目指しました。

いずれも、ブースを訪れてくれた参加者には楽しんでもらえたようですが、 3つの実演を総合的に説明する機会を設ける配慮ができず、複合科学としての海洋学の魅力 やスケールの大きさを十分に伝えられなかったのが反省点です。
また、『海のプロフェッショナル―海洋学への招待状』『海のプロフェッショナル2 楽しい 海の世界への扉』を展示し、これらの本を編集された窪川かおるさん(東京大学)にキャリ ア相談を担当していただきました。配布資料として、上記3つの実演実験に関する資料、海 洋学を学べる大学とその後の進路についてまとめた資料、海洋研究に関するパンフレット (JAMSTEC提供)等を用意しました。教育問題研究会会員の西山真樹さん(足立区生物園) にブース周辺で積極的に配っていただいたおかげで、最終的には約50名に資料を渡すこと ができました。

5.おわりに

今回、私たちのブースを訪れてくれた参加者(中高生、保護者・教員、運営 スタッフ)に、実演への参加や配布資料を通して「海洋学」という分野の存在とその面白さが 少しでも伝わっていれば、たいへんうれしく思います。
初出展だった2014年度の反省点を踏まえて、2015年度はバージョンアップして、女子中高生 に海洋学の魅力をもっと伝えることができたらいいな、と思っています。みなさま、どうかご 協力の程を宜しくお願い申し上げます。最後になりましたが、今回、この企画のために新鮮な ネットサンプルを用意してくださった東京海洋大学の宮崎奈穂さん、企画や資料作成にあたり 有益な助言を頂きました教育問題研究会のメンバーに、お礼申し上げます。

1) http://www.nwec.jp/jp/program/invite/2014/page02i.html