バンドン型採水器を作る
なぜ海から水を汲むのだろう?
海の水には、塩分や生き物の栄養となるもの、酸素や二酸化炭素など気体も溶けています。目に見えないほこりのようなもの(セストンという)や小さな生き物(プランクトン)もいます。海の水は動いており、場所や深さや季節によって温度も違います。したがって、海や湖を調べるには、水の温度を測ったり、海の成分を調べたり、流れや波を測ったり、生物を採集したり、泥を採ったりする必要がありますが、まずは水を汲んで調べてみましょう。
必要な道具
主な材料と工具
■ 材料(日曜大工店などで買う)
アクリルパイプ 径40mm×厚さ2mm×長さ300mm →採水筒
木材(ひのき材) 10×20×900mm →採水筒枠
重り(チェン) 有り合わせのもの、石でもよい →採水器の重錘
ゴムパッキン 幅20mm×厚さ5mm×長さ200mm →筒と枠の間
生ゴムひも 600mm →上下蓋と重り受け用
ゴム球 径50mm 2個 →上下の蓋
重り(鉛) 径40mm×厚さ20mm →メッセンジャー用
ヒートン、皿木ネジ、小ボルト、針金、ひもなど少々
■ 工作道具
小のこぎり、錐、ペンチ、ドライバー、はさみ、切り出しナイフ、(あれば小型ドリル)
やり方はこうだよ
(1)水を汲もう
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図1 |
アクリルパイプを使った簡単な手製の採水器の試作型の全体図 |
- 表面の水 ⇒ ボートに乗って「ひしゃく」ですくえば汲めます。
少し大きな船でとどかないときは、バケツにひもを付けて汲み上げます。船が走っている時は引き込まれないよう注意しましょう。
- 深い所の水 ⇒ 汲むのはむずかしい。
そこで「採水器」という水を採る道具が必要です。 採水器はいろいろありますが、簡単なものを作ってみましょう。(図1)
(2)では、簡単な採水器を作ろう
(容量約300ミリリットルのアクリルパイプ、バンドン型)
- 採水器のふたとなるゴム球の中心に細い穴を開けます。
- その穴に1.5mmの針金を通し、両端を曲げてリング状にします。
- ゴムひもを引っ張った状態でアクリルパイプの中でゴム球2個をつなぐ。
- 木材を支柱用に360,120,120,40,200mmに切り分けます。
- 木片360,120,120,200mmを図のように木ねじなどで組立てます。
- 上の重り受けは自由に動くように小ボルトで取付けます。
- 図のように重り受けにふたの掛け金具とゴムひもを取付けます。
- 支柱にゴムパッキンをはさんで採水パイプに取付けます。
- 吊り下げ用ロープを取付け、鉛の重りに穴を開けてロープに通します。
- 下に重り(適当な石、チェーンでもよい)をつけて出来あがりです。(写真1)
(3)採水器をテストしよう
- 重り受けがうまく動いてふたの掛け金具が外れるかテストします。
- とりあえず風呂や洗濯機などの水槽で簡単なテストを行います。
- 水がもれる場合は中のゴムひもを強く張って下さい。
- プールや池などでうまくいけば大成功です。
(4)この採水器(水を採る道具)の使い方は?
- 吊り下げるロープにマジックインクやビニールテープなどで長さのマークをつけておこう。これは水を汲む深さを知るためです。
- 採水器の上下のふたは空けたままで下に重りをつけ、ロープを繰り出して水が欲しい深さまで沈めます。(写真2)
- 別の重りをロープに沿わせて落とし、上下のふたを閉じてそこの水を採水器に閉じ込めます。(写真3)
- このように採水器などを開閉したりする重りをメッセンジャーといいます。
- ロープを引き上げると、欲しい深さの水が手に入るというしくみです。
◆ここに注意しよう◆
- 海の上の作業ですから落ちないよう、また器具を落とさないよう注意しましょう。
- 手早く上のふたを開けて、温度計で水温も測っておきましょう。
- 採った海水はきれいなびんに入れ、変化しないようゴム栓などで密閉し、実験室(教室)に持ち帰ります。このとき採った日時と場所を記録しておきます。
⇒採った海水を化学分析(主として塩分、溶存酸素、栄養塩類など)をして内容を調べたり、顕微鏡で生き物を観察したりしよう。
深いところの水を採るにはいろいろな方法があります。大切なのは必要な深さの水を容器に取り込んで、ほかの水と混じらないように上げてくることです。
現在の新しい技術では、海の浅いところも一番深いところ(10km以上)からでも、温度、深さ、塩分などを測りながら、欲しい深さから水を採ることができます。また海水の量も数100ミリリットルから数キロリットルまで、採水器の大きさもいろいろあります。
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