ポンプ式簡易採水器を作る
水の色?
海の表面の水はバケツで簡単に採水することができますが、海の中の水を採水するには工夫が必要です。いろいろな深さの水を採水するために、ポンプを利用した方法にチャレンジしてみましょう。
ポンプ式簡易採水器ってどんなもの?
ポンプ式簡易採水器は、写真3のようにチューブと採水ビンを組み合わせた装置です。ポンプで吸引して、海に沈めたチューブから海水を採水します。チューブとロープを長くすれば、水深数十メートルの海水でも採水することができます。
必要な道具
■ 材料
ガラスビン(0.5-1リットルくらい)
ガラス管(直径 6-8 mm、ゴム栓より 3 cmくらい長いもの)
ゴム栓(ガラスビンの口に合う大きさのもの)
ポリエチレンチューブ(直径 6-8 mm)
ロープ、おもり(つけもの石、コンクリートブロックなど)
吸引ポンプ(下のコラムを参照)
■ 工作道具
コルクボーラー、カッター、ヤスリ、ドライバー
ポンプ式簡易採水器の作り方はこうだよ
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写真1
コルクボーラーでゴム栓にガラス管大の穴を二つあけ、ガラス管をねじ込みます。ガラス管の切り口は危険ですから、ヤスリで丸めて使います。
- ガラス管付きゴム栓、ガラスビン、ポリエチレンチューブで写真1の装置を2本組み立てます。一方のガラスビンの中のチューブは片方だけビンの底に届くようにします。
- 次に、ロープの一端におもりをしっかりと固定します。このロープにガムテープでポリエチレンチューブを軽く固定します。ポリエチレンチューブの先はおもりよりも10-20
cmくらい出るようにしておきましょう(写真2)。
- ガラスビン2本をチューブで連結し、一方の端にロープにくくりつけたチューブをつなぎ、もう一方の端を吸引ポンプにつなげます(写真3)
吸引ポンプには何を使えばよいかな
吸引ポンプとは、空気を吸い込むポンプのことです。研究用のポンプとして、いろいろなタイプが販売されています。採水するときに船や車などの電源コンセントを使用できる場合は、実験用の吸引ポンプ(写真4:約2万円〜)が便利です。電源がないところで採水したい場合は、やや高価ですが、電池で動く小型吸引ポンプ(写真5:約4万円〜)がよいでしょう。
また、身近な道具を改造して吸引ポンプをつくる方法もあります。例えば、自転車の空気入れの円筒部を分解し、ピストンの先についている円盤を逆に付けて組み立て直すと、強力な「吸引ポンプ」になります。また、浮き輪用の足踏みポンプは、一方の口から空気を吸引するので、そのまま「吸引ポンプ」として使うことができます。
測り方はこうだよ
- ロープにくくりつけたチューブを水中にゆっくり沈めます。
- チューブの先(採水口)を目的の深さまで沈めます。ロープの目盛りから、水深を求めます。
- 吸引器を動かして、二番目のガラスビンが一杯になるまで海水を吸い上げます。
- 一番目のビンに入っている海水が目的の深さから汲み上げた海水です。この海水をいろいろな実験に使いましょう。
◆ここは注意しよう◆
- 二番目のビンには、いろいろな深さの海水が混ざっているので、ある程度一杯になったら捨てます。
- 海底に近い水をとるときは、底の砂利や泥を吸い込まないように注意しましょう。
- 海面から採水器を設置した場所までの高さが2メートル以上あるときは強力な吸引ポンプを使う必要があります。
海水の保存方法について
保存用ビンには、ポリエチレン或いはポリプロピレン製のプラスチック容器がよいですが、手に入らなければ市販の水が入っていたペットボトルでもかまいません。ただし、汚れが付いていると正確な分析ができないので、採水に使う前に水道水でよく洗っておいて下さい。また、採水するときは、採水した海水を少量使って保存ビンを2-3回すすぎます。この操作を「とも洗い」といいます。とも洗いは正しい分析結果を得るために必要な操作です。
また、せっかく採水した海水もそのまま置いておくと腐ったりして、溶けている成分が変質してしまいます。海水成分は、できるだけ早く分析しましょう。すぐに分析できない場合は、1)試料をろ過する、2)酸を加えて弱酸性にする、3)冷蔵・冷凍保存するなどの試料処理を速やかに行う必要があります。しっかりした処理を行った海水は一ヶ月以上保存することができます。
もう少し「研究」してみよう
- ボートで海にでて、同じ地点でいろいろな深さの水を採水してみましょう。深くなるにつれて海水はどのように変わっていくでしょうか。
- 採水直後にアルコール温度計で【水温】を測ると、現場の海水の水温を知ることができます。水温の分布から、海の中の構造を調べてみましょう。
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