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海の底を調べよう

海の底ってどんなところ?

 海の底(海底)ではプランクトンの遺骸が降り積もり、それを餌としている生き物(底生生物)が生活しています。穏やかな内湾では、河川から流入した土砂や、生物の遺骸が堆積物としてたまり、岩場とは異なった生物の生活場所を提供しています。
  表層のプランクトンは気まぐれで、水温や水の流れ、天候等により、増えたり減ったり極端で、種類の中身も変化します。赤潮(写真1)はいつでも見られるわけではありません。

赤潮
波の華
写真1:海面をまっ赤にそめた赤潮
この赤潮の発生で酸素(さんそ)が不足して魚や貝が死んでしまう(写真提供/PANA)

写真2:日本海冬の名物波の華。佐渡島真野町弁天崎 (写真提供/佐渡にこいっちゃ)

 日本海でみられる”波の華”(写真2)もプランクトンが集まったものですが、季節性があり、冬、波風の強い日によく見られるものです。大雨が降った時には濁流が河川から海に流れ込みます。
”濁り”の正体は周囲から流れ出した土砂ですが、森林伐採や宅地開発が要因となって土砂の流出量が増加する場合もあり、新聞やニュースで取り上げられていますね。土砂の流入もいつも同じように起きているわけではなく刻々と変化しているようです。
  こうして日々変化している現象をすべて観察し尽くすのは容易なことではありません。しかし堆積物にはそれぞれの痕跡が平均化され記録されています。堆積物の中身をしらべ、堆積物の起源や海の健康状態について考えて見ましょう。

 植物プランクトンは太陽の光を利用して二酸化炭素(CO2)と水(H2O)から体(炭水化物: Cn(H2O)m)をつくり酸素(O2)を放出します。これが光合成で、化学式であらわすと以下のようになります。

nCO2+mH2O -> Cn(H2O)m+nO2

 海洋では、植物プランクトンが光合成で有機物を固定し、植物プランクトンを餌にする動物プランクトン、その動物プランクトンを餌にする魚と、食物連鎖網が形成されています。プランクトンや魚の遺骸、糞をまちかまえ餌にする底生生物もいます。
  海の底では底生生物の営みにより、酸素が消費され有機物(生物の遺骸)が分解され、光合成とは逆向きの反応が起こります。堆積物の中に酸素が乏しくなると、堆積物が黒っぽくなります。有機物が”腐って”ヘドロをつくったことが関係しています。酸素がなくなると、無酸素で有機物を分解する微生物(硫酸還元バクテリア)の活動が活発になります。硫酸還元バクテリアは海水中の硫酸イオン(SO42-)を還元して硫化水素(H2S)を発生させます。硫化水素は堆積物中に含まれる微量の鉄分(酸化鉄Fe2O3)と反応して黒色の硫化鉄(FeS)を形成します。海底表層の堆積物の色やにおいは、供給される有機物の量に関係していることになります。人為的な要因が引き金になって(たとえば生活廃水には、プランクトンの栄養塩となる窒素(N)や燐(P)などがたくさん含まれています)、海が自然に分解する能力以上に有機物が供給されてしまった場合、海が汚濁・汚染されてしまいます。プランクトンは私たちの食卓を彩る魚貝類の大切な餌を供給してくれます。しかし必要以上に生産されると海を汚してしまうこともあるのです。

採泥器を作ってみよう

 堆積物を採取するには目的に応じて様々な方法がありますが、ここでは重力式柱状採泥器(グラビティ・コアラー)の原理を用いた簡易柱状採泥器の作り方を紹介します。流れの少ない内湾や、港で泥勝ちの堆積物を採取するのに向いています。

簡易柱状採泥器(ペンシルコアラー)
簡易柱状採泥器の材料と道具

作り方はこうだよ


作り方1
作り方2
  1. パイプの端に針金を通すための穴をドリルであける。
  2. ペットボトルの底を切り落とす。
  3. ビニルテープでペットボトル#1をパイプに固定する
    (固定する位置は中心からやや上)。
  4. 鉛玉をペットボトルにつめる。
    ペットボトル#2の上部を切り取る。
  5. ペットボトル#2でふたをし、ビニルテープで固定。
  6. 余りのペットボトルで羽をつける
  7. 針金を通す(はずれないようテープで補強)
  8. ロープや釣り具につないで、いざ投入!

注意: この採泥器はいずれも泥を採るためのもので、粗い堆積物(砂・礫)の採取は苦手です。

 

トライ!

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