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水の色は何色?〜簡易比色計で水質を調べてみよう〜

水の色?

 水の色や濃さは、水質の重要な情報源です。水の色とその濃さから、水の中に溶けているいろいろな成分を調べることができます。専門の研究機関では、とても高価な測定機器で水質を分析していますが、色の濃さを測定するだけの簡易比色計なら、日曜工作で作ることができます。

簡易比色計って何?

 水の濃さを測定する器械を比色計といいます。ここで紹介する簡易比色計は、プラスチックケースの本体に、発光ダイオード、プラスチックセル、CdS素子を組み合わせたものです。⇒作り方
 測定では、発光ダイオードから発せられた光を試料水に通してCdS素子で検出します。途中、試料水の色の濃度に比例して、発光ダイオードからCdS素子に届く光は妨げられて弱くなります。CdS素子の電気抵抗は光の強さによって変わるため、この電気抵抗値をデジタルテスターで測定すれば、試料水の色の度合いを数値として読み取ることができます。

発光ダイオードの光が試料水を透過する様子をみてみよう

写真1写真1

 いろいろな濃さの赤色の試料水が入った試験管(写真1)に緑色発光ダイオードの光を上から透過した結果を写真2に示します。試料水の赤色が薄い場合(写真2右)、透過する光の強度は、試験管がレンズとなって非常に強くなります。一方、試料水の赤色が濃くなると透過する光の強度は急激に弱くなります(写真2左)。赤色が濃い試料水ほど、緑色の光を多く吸収するからです。このように、透過する溶液の色の濃さに比例して、特定の色の光の強度は弱くなります。


写真2
写真2

CdS素子について

 CdS素子は、硫化カドミウムという化合物でできています。この化合物は、明るさによって電気抵抗が変わるという性質をもっています。明るいときには抵抗が小さいのですが、暗くなると抵抗が大きくなります。

必要な道具

写真3写真3

■ 材料
カセットケース収納箱(プラスチック製,80×120×65 mm程度の大きさ),ミノ虫クリップ,1/4W炭素皮膜抵抗(100 Ω),発光ダイオード(赤(Kingbright社,L934SCG),緑(Kingbright社,L934SRCG),青(日亜化学,NSPB-500S)),硫化カドミウム素子(浜松ホトニクス社,P201D-5R),ディスポーザブルセル(ポリスチレン製,Kartell社,1937),スイッチ,6 V乾電池ホルダー(単3電池4個),デジタルテスター(A&D社,DMM AD-5527),ダンボール紙,アルミホイル,厚紙,リード線,ビニールテープ,ハンダ
テスター以外は、日曜大工店、電子部品店で、全部の部品を2千円位でそろえることができます。また、部品セットも販売されています(写真3)。

比色計の作り方はこうだよ

  1. 容器として利用するカセットケース収納箱から仕切り板を取り外し,仕切り板と同じ大きさの厚紙2枚を作成します。
  2. 厚紙製の仕切り板にアルミホイルを貼り,中央部の下から2 cmの箇所に発光ダイオードと硫化カドミウム素子をはめ込むための穴(直径約5mm)を開けます。
  3. 図1のように中央にプラスチックセルが入る穴(13mm×13mm)を開けた四角い筒を厚紙で作成して,内部にアルミアルミホイルを貼り付けます。
  4. セル台と容器のフタはそれぞれダンボール紙で作成し,すべての部品をカセットケース収納箱にセロハンテープで容器に固定します。
  5. 最後に,炭素皮膜抵抗とミノ虫クリップ,電池ホルダー,及び,硫化カドミウム素子とミノ虫クリップをそれぞれハンダ付けし,発光ダイオードとともに容器にはめ込み,必要箇所をセロハンテープで固定します(写真4)。
図1
図1
写真4
写真4

測り方はこうだよ

  1. 簡易比色計のプラスチックセルに試料水を入れます。
  2. デジタルテスターで簡易比色計の電気抵抗値を測定し、色の濃さを求めます。

◆ここに注意しよう◆
簡易比色計を乱暴に扱うと、微妙に測定値が変わります。正しく測定するために、いつも同じ条件で測定しましょう。

もう少し研究してみよう

  • 同じ溶液でも発光ダイオードの色を変えると、電気抵抗の値は変化します。発光ダイオードの種類と、溶液の色の関係を調べてみよう。
  • 色々な場所の水の濁りを簡易比色計で測定してみよう。目で見た濁りと同じかな?

参考文献

小西、水上、川嶋、滋賀大学教育学部教育実践センター紀要,1,45-48(1993)
長谷川, 高橋, 牧, 上田, 化学と教育, 53, 458-461 (2005)

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