比色分析法で水質を測定しよう(2)
〜リン酸を測るーモリブデンブルー法〜
リン酸は、海の富栄養化を引き起こす主要な原因物質の1つです。特に、家庭廃水や農業廃水に多く含まれていることが知られています。私たちの身の回りの水のリン酸濃度を測定して水質悪化を引き起こしている原因は何か、調べてみましょう。
必要な道具
■ 試薬(冷蔵保存すること)
0.1mol/l アスコルビン酸溶液(使用直前に調整する)
モリブデン酸アンモニウム溶液(モリブデン酸アンモニウム4gを水100mに溶かす)
2mol/l 硫酸
リン酸2水素カリウム
■ 器具
100mlメスフラスコ・1lメスフラスコ・100ml三角フラスコ
1mlホールピペット・5mlホールピペット・5mlメスピペット
やりかたはこうだよ
手順1 10-4mol/lリン酸標準溶液を作る
- 100mlのメスフラスコにリン酸2水素カリウム1.3609gを入れます。
- 正確に標線まで水を加えます。
- この溶液1mlをホールピペットで1lメスフラスコに正しくとります。
- 水で標線まで加えます。
写真1
手順2 検量線を作る
- 検量線用の標準試料水を調整します。100mlメスフラスコに手順1で作った10-4mol/lリン酸標準溶液0,1,2,5,10,20,50mlをそれぞれ別々にとります。
- それぞれのメスフラスコに水を加えて100mlになるようにして、よく振り混ぜます。
- 先ほどの7種類の標準試料水をそれぞれ50mlずつ100mlメスフラスコに移します。
- 7種類のメスフラスコに、2mol/l硫酸5ml、モリブデン酸アンモニウム溶液3mlを加えます。
- 標線まで水を加え、よく振り混ぜます。
- さらに、L-アスコルビン酸溶液5mlを加えてよく振り混ぜます。
⇒水の色が青くなるよ!(写真1)
- この液を10分放置。
- 簡易比色計のプラスチックセルに移し、赤色発光ダイオードを用いて、色の濃さを測定します。
グラフ1 検量線
手順3 グラフを作る
- グラフ用紙に、横軸:リン酸の濃度(0、0.1、0,2、0.5、1、2、5×10-5mol/l)、縦軸にテスターより得られた電気抵抗値をとります。
- プロットします。
- すべての点がなるべく近くを通るように検量線を引きます。
手順4 海水中の亜硝酸を定量してみる
- 採取した海水をろ紙でろ過し、ごみを取り除きます。
- ろ過した海水50mlを100ml三角フラスコに移し、手順2のBから同じ操作を行って、電気抵抗値を求めます。
- 手順2と3で作成した検量線のグラフから、亜硝酸濃度を求めます(グラフ1)。
どうして、測れるの?
酸性溶液中で、リン酸はモリブデン酸として反応して、リンモリブデン錯体(黄色)になります。リンモリブデン錯体(黄色)はアスコルビン酸で還元するとリンモリブデン錯体(青色)に変化します。
◆ここは注意しよう◆
- 採取した試料水は、冷蔵庫に保存し、一週間以内に測定しましょう。
- 実験で使う水は精製水(イオン交換水又は蒸留水)を使ってください。
- 使用する器具は、しっかり洗浄して精製水ですすぎましょう。
- 色の濃さは、時間や温度によってかわることがあります。
- 実験で用いる試薬は、化学薬品会社で販売されています。化学薬品には、取扱いに注意しなければならないものが多くあります。危険ですから、学校の先生の指導のもとで実験を進めて下さい。
もう少し研究してみよう
- 家庭排水・農業廃水や、川の水の中に含まれるリン酸を測定してみましょう。富栄養化の原因物質はどのように海に流れ出ているのでしょうか。
- 比色分析法でリン酸、亜硝酸以外にもたくさんの成分を調べることができます。詳しくは以下の参考図書を参照してください。
日本分析化学北海道支部編「水の分析」(化学同人)
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