比色分析法で水質を測定しよう(1)
〜亜硝酸を測るーナフチルエチレンジアミン法〜
海水の成分を調べるためには、試料水中に目的の成分と反応して色が生じる試薬を加えます。その色の濃さを測定することによって、目的成分の濃度がわかるわけです。このように水質を分析する方法を比色分析法といいます。「水の色は何色?〜簡易比色計で水質を調べてみよう〜」で作成した簡易比色計を用いて、海水中の亜硝酸を測ってみましょう。
必要な道具
■ 試薬(冷蔵保存すること)
スルファニドアミド溶液(スルファニルアミド3.0gを3NHCl100mlに溶かす)
NED溶液(N-1-ナフチルエチレンジアミン二塩酸塩0.5gを水100mlに溶かす)
亜硝酸ナトリウム
■ 器具
100mlメスフラスコ・1リットルメスフラスコ
1mlホールピペット・10mlホールピペット・5mlメスピペット
100ml三角フラスコ・試験管・試験管立て
やりかたはこうだよ
手順1 10-4mol/l亜硝酸標準溶液を作る
- 100mlのメスフラスコに亜硝酸ナトリウム0.6900gを入れます
- 正確に標線まで水を加えます
- この溶液1mlをホールピペットで1lメスフラスコに正しく取りましょう
- 正確に標線まで水を加えます
写真1
手順2 検量線を作る
- 検量線用の標準試料水を調整します。100mlメスフラスコに手順1で作った10-4mol/l亜硝酸標準溶液0,1,2,5,10,20,50mlをそれぞれ別々にとります。
- それぞれのメスフラスコに水を加えて100mlになるようにして、よく振り混ぜます。
- 先ほどの7種類の標準試料水をそれぞれ20mlずつホールピペットで試験管に移します。
- 7本の試験管に、スルファニドアミド溶液2mlを加えてよく振り混ぜたあと、15分間放置。
- 次にこの7本の試験管に、NED溶液2mlを加えてよく振り混ぜます。
⇒水の色が赤くなるよ!(写真1)
- この液を20分放置。
- 簡易比色計のプラスチックセルに移し、緑色発光ダイオードを用いて、色の濃さを測定します。
グラフ1 検量線
手順3 グラフを作る
- グラフ用紙に、横軸:亜硝酸の濃度(0、0.1、0,2、0.5、1、2、5×10-5mol/l)、縦軸にテスターより得られた電気抵抗値をとります。
- プロットします
- すべての点がなるべく近くを通るように検量線を引きます。
手順4 海水中の亜硝酸を定量してみる
- 採取した海水をろ紙でろ過し、ごみを取り除きます。
- ろ過した海水20mlを試験管に移し、手順2の3から同じ操作を行って、電気抵抗値を求めます。
- 手順2と3で作成した検量線のグラフから、亜硝酸濃度を求めます(グラフ1)。
どうして、測れるの?
酸性溶液中で、亜硝酸はスルファニルアミドと反応して、アゾ化合物になります。これにナフチルエチレンジアミンを加えると、カップリング反応により、ジアゾ化合物(赤色)が生成します。
◆ここは注意しよう◆
- 亜硝酸は水の中で分解されやすく不安定です。採取した試料水はすぐにろ紙でろ過して、できるだけ早く測定できるように観測計画を立てましょう。
- 実験で使う水は精製水(イオン交換水又は蒸留水)を使ってください。
- 使用する器具は、しっかり洗浄して精製水ですすぎましょう。
- 色の濃さは、時間や温度によってかわることがあります。
- 実験で用いる試薬は、化学薬品会社で販売されています。化学薬品には、取扱いに注意しなければならないものが多くあります。危険ですから、学校の先生の指導のもとで実験を進めて下さい。
もう少し研究してみよう
- 有機物の多い汚れた水の中に亜硝酸は多く存在します。いろいろな場所の水を調べて水の汚れを研究しましょう。
- 亜硝酸は食品添加物として精肉製品などに使用されています。ハム、ソーセージなどに含まれている亜硝酸を測ってみましょう。
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